ハムストリングス肉離れの予防戦略を立てるために知っておくべき基本情報を前半記事で書かせてもらいました。
後半の本記事では
「実際にどのように対策してハムストリングス肉離れを予防していくのか?」
といったところを深掘りしていきます。
前半をまだご覧になっていない方は前半をサラッと読んでおくことをオススメします。
(👇前半記事)
基本的には前半記事で話した「リスク因子」を基に推奨されるであろうエクササイズなどを紹介していきます。
目次
1.柔軟性(≒筋束長)を確保せよ
まず前提として、前半の記事でも話しましたがハムストリングスの柔軟性が乏しい場合には、
スプリントなどにてハムストリングスが過度な伸張ストレスにさらされる可能性が高くなります。
参考
👆柔軟性が乏しい場合、スプリントなどで筋が伸張された際に力-長さ関係(図ではトルク-角度関係)の下降局面(不安定な領域)に差し掛かりやすく肉離れリスクが高くなる(前半記事より)
よって、何らかの方法を用いてハムストリングスの柔軟性を確保しておく必要があります。
ここで多くの方が想像されるであろう柔軟性を改善させる方法として静的ストレッチが挙げられるかと思います。
ただ、過去には静的ストレッチが肉離れ予防に効果的ではないのでは?という研究も報告されていたりします。
例えば、Arnason A et al. (2008)は静的ストレッチと後に紹介するノルディックハムストリングスのそれぞれのハムストリングス肉離れに対する長期的な予防効果を検証しました1。
その結果、彼らは予防効果があったのは伸張性エクササイズを実施した群のみであったと報告しています。
しかし、図の方でも記載してありますが、この研究で採用されたストレッチ時間は最長で30秒/回であることに注意が必要です。
実は、ストレッチにて筋の柔軟性を確保するには我々が認識しているよりもより長い時間のストレッチが必要であることがわかっています。
ここでは話が少々逸れるので詳細は割愛しますが、この点に関する内容は以前にストレッチ関連の研究で著名な中村雅俊先生(@MasaNakamuraTo1)がNSCAジャパン機関誌に寄稿された記事に詳細に書かれていますので、気になる方は是非こちらからご覧ください。
なので、筋の柔軟性を確保するためにストレッチを処方する場合、
ある程度のストレッチ時間を確保できる前提でハムストリングスのストレッチを実施する必要があるのかなあと個人的には感じています。
また、ハムストリングスだけでなく、骨盤前傾によるハムストリングスの伸張ストレスを避ける目的で骨盤前傾に貢献しうる腸腰筋のタイトネスを解消しておくことも重要であると考えられています。
例えば、スプリントを例にとって考えた場合、スイング期後期にて反対側の腸腰筋のタイトネスが存在する場合、骨盤前傾が助長され、ハムストリングスの張力が増大し肉離れ発生リスクが高まる可能性が考えられます。
実際に対側の腸腰筋の張力の増大がスイング側のハムストリングス張力にもたらす効果を検証した研究を紹介します。
Nagano et al. (2014).は対側の腸腰筋の筋張力がピークを迎え、骨盤前傾角度も同時に最大になるタイミングでスイング期後期を迎えた反体側のハムストリングスの筋張力がピークに達することを明らかにしました2。
これはつまり、対側の腸腰筋にもし過度なタイトネスが存在する場合、スイング側のハムストリングスに骨盤前傾を介して過度な張力が働く可能性があることを示しています。
したがって、ハムストリングスだけでなく、腸腰筋などの骨盤前傾を介してハムストリングス張力増大に関与しうる筋のタイトネス解消も重要でしょう。
また、ストレッチに限らずトレーニングによっても筋束長を改善させることが可能であると考えられています。
この際、収縮様式別で筋束長にもたらす変化を調査した場合、特に短縮性収縮よりも伸張性収縮では筋束長がより大きく改善することがわかっています。
French et al. (2014)の報告によれば、10週間のレッグプレストレーニングを短縮性収縮のみで実施する群と伸張性収縮のみで実施する群間で比較した場合、外側広筋の筋束長の増大は両群ともに観察されたものの、その程度は伸張性収縮の方が大きかったことが示されています3。
また、ハムストリングスの肉離れ予防で広く広まっているノルディックハムストリングス(伸張性エクササイズ)に関しても長期的なトレーニング介入により筋束長が増大することがわかっています。
例えばPincheira PA et al. (2022)は、3週間のノルディックハムトレーニングが大腿二頭筋長頭の筋束長とサルコメア長にもたらす影響を調査し、
どちらの指標も3週間のトレーニング後に有意に増大することを報告しました4。
伸張性エクササイズはこの後話す伸張性筋力改善の目的でも有効な手段であるため、肉離れ予防の観点から”一石二鳥”の効果を持っていると考えて良いでしょう。
ポイント
- ハムストリングスの過度な伸張ストレスを避けるために、ハムストリングスの柔軟性を確保しておく事は重要
- ストレッチにて柔軟性を改善させるには比較的長いストレッチ時間が求められるかも
- ハムストリングスだけでなく骨盤前傾に関与する筋(腸腰筋など)の柔軟性改善も重要
- 伸張性エクササイズの実施は筋束長を改善するのに有効な手段である
2.ノルディックハムストリングスの実施
また、前半部分でもお話しした通り、ハムストリングス肉離れを予防する上で、ハムストリングスの伸張性筋力を改善させることは達成すべき重要なゴールの一つになります。
数あるハムストリングスの伸張性トレーニングの中で最も有名なエクササイズはおそらくこの章のタイトルにも示しているノルディックハムストリングス(以下ノルハム)でしょう。
ノルハムはおそらく最も研究が盛んに行われているエクササイズの一つで絶大な予防効果を発揮することが示されています。
長期的なノルハムの実施によるハム肉離れ予防効果を検証した研究はいくつか存在し、僕が調べた3つの研究ではそれぞれ60%以上の肉離れ効果があることが示されています1, 5-6。
これはかなり凄い数字だと思いませんか??
ノルハムがこれだけの予防効果を示す背景には、先ほど話した筋束長の増大と伸張性筋力の増大が主に挙げられます。
例えば、Presland JD et al. (2018) は6週間のノルハムの実施により、高ボリューム実施した群と低ボリューム実施した群の両群で筋束長と伸張性筋力が増大することを報告しました7。
参考
個人的にPresland JD et al. (2018). の研究は読んでて様々な観点から非常に参考になりました。
というのも、ノルハムが肉離れ予防に効果的だというのを聞いて、
「ノルハムってやればやるだけ効果出るんでしょ?!」
と考える方は多かったかもしれません。
しかし、彼らの研究によれば、沢山やればいいというわけではなく、少し少なめのボリューム(週1回4〜6レップ2セット)でも十分に高ボリューム群と同程度の効果が見込めることが示されたのです。
少し話がそれますが、実はハムの肉離れってノルハムという強力な”切り札”があるにも関わらず、その受傷率は大きく減っているわけではないんですよね。その原因の一つとして考えられているのが「コンプライアンスの低さ」が挙げられるみたいで、実際にノルハムを導入したとしても継続して実施できているチームは少ないなどと言われてるそうです8。
そういった背景を考えると、今回の研究のように
「そんなに高頻度で実施できなくてもあまり大きな問題ではない」
という考えがあればチームに導入する障壁は低くて済みそうですよね。
ただ、彼らの研究示されたもう一つ興味深い点として、2〜4週間のディトレーニングで得られた筋束長や筋力がベースラインに戻ることも示されています。
なので、頻度を少なくするのは良いにしても、めっきり介入を止めてしまうとせっかくのトレーニング効果が失われてしまう可能性があります。
なのでシーズンオフだけ実施して満足することなく、シーズン中も頻度は少なくとも継続して実施しておくことは重要かもしれません。
ちなみに、ちょっとだけ深掘りして、
「ハムストリングスの伸張性エクササイズってノルハム以外にも沢山あるけど、ノルハムだけに特徴的な要素ってあるの?」
という点を紹介します。
例えば、
ノルハム実施における筋束長の増大には、エクササイズ実施中における筋腱単位の振る舞いの仕方に秘密があるそうです。
Van Hooren B et al. (2022).は3種類のハムストリングス伸張性エクササイズ間のハムの筋腱単位の振る舞いを観察しました9。
その結果、彼らはノルハムの負荷に耐えられずに急降下する時点(Breaking point)以降に筋腱単位が急激に伸張する様子を観察し、これは観察した3種類のエクササイズの中でノルハムだけに特徴的な振る舞いであると報告しました。
個人的には、この急激な筋腱の伸張が高速スプリントなどでの素早いハムの伸張に適応しているのではと考えていますが、この真相についてはまだまだ勉強する必要がありそうです。。。
ポイント
- ノルハムはハム肉離れ受傷リスクを60%近く減らすことができるかもしれない
- ノルハムの実施によりハムの筋束長や伸張性筋力が改善する可能性がある
- Breaking point以降のハムの急激な伸張はノルハムに特徴的な点である
3.股関節主体のハムストリングスエクササイズの活用
また、ハムストリングスのエクササイズには股関節を主体に実施されるエクササイズ(ルーマニアンデッドリフト;RDLやヒップエクステンション)と膝関節主体に実施されるエクササイズ(ノルハムやレッグカール)に大別することができます。
これら二つの大きな違いとして、ハムストリングスの中でも活性化される筋に違いがあることが挙げられます。
具体的には、股関節主体のエクササイズでは大腿二頭筋長頭が、膝関節主体のエクササイズでは内側ハムストリングスがより優位に活動することが示されています。
例えば、Bourne MN et al. (2017)は、10週間のノルハム(膝関節主体)あるいは45°ヒップエクステンション(股関節主体)が内外側ハムそれぞれの筋束長や筋ボリュームにもたらす効果を検証しました10。
その結果、筋束長の結果に関しては介入間に差はなかったことが明らかにされました。
一方で、筋肥大の程度に関しては、大腿二頭筋長頭は股関節主体のヒップエクステンションの方が膝関節主体のノルハムよりも肥大することが示されました。
また、Bourne MN et al. (2017)はこれに関して、様々なハムストリングスエクササイズにおける大腿二頭筋長頭と内側ハムの筋活動の比率をまとめた図を発表しました。こちらの図からも主要関節が異なることで活動する筋の特徴が異なることが一目瞭然です11。
ただ、前述した通りハム肉離れ予防としてノルハムが非常に有効なエクササイズであることが示されてることで
「ハムストリングスの伸張性エクササイズってノルハムだけやっとけば十分でしょ??分けてやる必要あるの??」
と感じる方もいるかもしれません。
ただ、個人的には特にスプリント型のハムストリングス肉離れを予防するためには股関節伸展筋としてのハムストリングスエクササイズを処方することは重要であると考えます。
例えば、スプリント型のハムストリングス肉離れが頻発するスイング期後期から立脚期前期にかけての局面では、股関節屈曲を減速させるための伸張性収縮から引き続く強力な短縮性の股関節伸展動作が求められます。
Higashighara et al. (2014).はこの股関節運動の重要性が高まる局面にて大腿二頭筋長頭の筋活動が特に大きくなることを報告していることから12、特に股関節運動を主体としたハムストリングスエクササイズを処方することでこの局面でのオーバーロードを避けることができると個人的には考えています。
また、大腿二頭筋長頭の肉離れ後には大腿二頭筋長頭の筋萎縮が生じることも報告されているため13、初発予防だけでなく再発予防の観点からも股関節優位のエクササイズを処方しリハビリしていくことも重要かもしれません。
ちなみに個人的に股関節を主導関節としたエクササイズで好んで処方するのはルーマニアンデッドリフト(RDL)ですね。
ポイント
- 股関節が主導関節のエクササイズは大腿二頭筋長頭、膝関節が主導のエクササイズは内側ハムが有意に活動しやすい
- 特にスプリント型のハムストリングス肉離れを予防するには股関節が主導関節であるエクササイズを処方するのが理にかなっているかも
4.腰椎骨盤帯をコントロールできる能力も重要
また、ハムストリングスは骨盤の付着している筋であるため、骨盤前傾による張力増加の影響を受けやすい筋であると言えます。
特にスプリント型のハムストリングス肉離れでは、スプリント中の過度な骨盤前傾は危険であると考えます。
例えば、Schuermans J et al. (2017)は29名の被験者を対象にシーズンを通してハムストリングス肉離れを受傷した選手(4名)とそうでない選手(25名)との間でスプリント中のキネマティクスに違いがあったのかどうかを調査しました14。
その結果、肉離れを受傷した選手はそうでない選手よりもスプリント全体を通して、骨盤の前傾が大きい傾向が見られました(より大きな体幹側屈も観察されたとのこと)。
また、ハムの肉離れ既往歴のある選手はそうでない選手よりも、スプリント中の特にスイング期後期に骨盤がより前傾していることがDaly C et al. (2016)によって報告されています15。
したがって、ハムストリングス肉離れ予防プログラムの中には,スプリント中の過度な骨盤前傾を改善するためのエクササイズも取り入れることが推奨されるでしょう。
スプリント中に骨盤前傾が生じる要因には対側の腸腰筋タイトネスも一つ原因として考えられますが、その他に体幹筋機能の低下が関与していると個人的に感じています。
内腹斜筋や腹横筋を含む腹部の筋が機能していない場合、腹腔内圧が高まりづらく骨盤前傾が生じやすくなることが考えられます。
そのため、ここでの体幹筋を賦活させる目的で処方するエクササイズではまず初めに、骨盤前傾を抑えて体幹筋が賦活しやすく腹腔内圧が高まりやすい状態※にて実施するエクササイズから処方するのが望ましいでしょう。
※過度に骨盤が前傾し、横隔膜と骨盤底筋群が向かい合っていない状態よりもこれらが向かい合った状態の方が腹腔内圧が高まりやすく腹部深部筋が機能しやすい。
例えば自分であれば、以下の『90/90 breathing』を導入として処方することが多いです。
やり方は、まず股関節と膝関節を90°に屈曲させます。この際尾骨をべったりつけることなく、骨盤をやや後傾させた姿勢をとることが肝です。
次に、この状態で鼻呼吸で息を吐きながら腹部の特にインナーマッスル(内腹斜筋や腹横筋)の収縮を意識して腹部に力をいれていきます。
そしてその後、ここで入れた腹部の力が抜けないように5〜10回ほど呼吸をします。
ここまでを1セットとしこれを何回か繰り返します。
慣れたらこの状態から下肢や上肢を動かし、難易度を上げていきます。
👇下肢のみ操作
👇下肢上肢両方操作(bird&dog)
『90/90 breathing』で腹部の力の入れ方を習得したら,段階上げのエクササイズとして『Leg lowering』を実施します。
こちらのエクササイズではあらかじめ股関節を90°屈曲させた姿勢をとり、そこから片側を地面に向けてゆっくりと降ろしていきます。
この際、先ほどのエクササイズと同様、腹部の力が抜けないようにすることが重要となります。
左右それぞれ3回ずつやって休憩とし、これを何セットか繰り返していきます。
その他のエクササイズとしては、体幹筋を賦活させた状態での股関節伸展筋のエクササイズも有効であると考えています。
例えば、下の動画の『Cook hip lift』というエクササイズは対側の下肢の股関節を屈曲させ支持側の下肢でブリッジをしていきます。
このエクササイズのポイントは腹部の筋の収縮を意識するのはもちろん、
その他に、支持惻の踵で真下に蹴る意識で実施するのではなく、膝を曲げる意識を持ちながら臀部を持ち上げることがポイントとなります。
これによりハムストリングスの収縮による骨盤後傾が誘導されやすく、腹腔内圧が高まりやすい環境が整うと考えられます。
また、このエクササイズの段階上げとしては、よりハムストリングスの負荷が高まるような『Straight leg bridge』が有効かと考えられます(結構キツイです。。)。
意識する点はCook hip liftと同じです。
あくまでここで挙げさせてもらったエクササイズは僕が個人的に有効であると考えているものなので、その他にも有効なエクササイズは山ほどあるでしょう。
オススメなエクササイズなどあればコメントなどお願いします!
ポイント
- スプリント中の過度な骨盤前傾はハムストリングス肉離れに関連しているかも
- 対策の一つとして腰椎骨盤帯をコントロールしながら実施されるエクササイズは有効かも
5.スプリントも実は有効なエクササイズである〜闇雲な処方には注意〜
最後に、ストレングスのエクササイズに限らず、スプリントそのものもハムストリングス強化のエクササイズとして有効であると考えられています。
例えば、Prince C et al. (2021)はスプリントを含む様々なハムストリングスエクササイズ中のハムストリングス(大腿二頭筋長頭と半腱様筋)の筋活動を計測し、いずれのストレングスエクササイズよりもスプリント中のハムストリングスの筋活動が最も高いことを報告しました16。
彼らはこの研究結果から
our results suggest that sprinting would be the best exercise to highly activate the hamstring and to induce muscle adaptation 我々の結果は、スプリントがハムストリングスを十分に活動させ、筋の適応を引き起こす最も有効なエクササイズであることを示している
と述べており、ハムストリングス強化エクササイズの一つとしてスプリントそのものが有効であることを示唆しています。
また、肉離れに関連する要因である筋束長に関しても、Mendiguchia J et al. (2020)の研究により6週間のスプリントトレーニング介入により大腿二頭筋長頭の筋束長が改善することが報告されており17、肉離れ予防に有効なエクササイズであることを裏付けています。
しかしながら、ただ闇雲にスプリントを処方することは危険であるとも考えられています。
具体的には、適切な量以上のスプリントを処方すると逆に下肢の傷害リスクが高まることが報告されています。
例えば、Malone S et al. (2017)は、前の週に>95%最大速度のスプリントが6-10回実施された場合に最も下肢の傷害発生リスクが低くなることを報告し、
逆に10回以上あるいは6回未満のスプリント数では傷害リスクが高まることを報告しました18。
また、もう少し過去に遡って、過去4週間に>85%最大速度に晒されたトレーニング/試合セッション数と非接触性の下肢傷害との関連性について、
Colby MJ et al. (2018)は、5-8セッション実施された場合が最も傷害発生リスクが低いことを報告しています19。
彼らは論文の中で急激な負荷の増大を避けるために、最低限の高速スプリントを週のどこかで実施しておくことを推奨しています(彼らは150 m以上/週を推奨)。
おそらくスプリント量が少なすぎる場合には、ハムへの伸張性収縮の刺激が不足し、いざ高い伸張刺激が加わった際には過度な伸張ストレスになるのでしょう。
一方で、負荷量が増えすぎた場合にはリスク因子の一つである疲労などの影響が傷害発生リスクを高まる可能性があります。
例えば、Shah S et al. (2022)は、前週に>90%最大速度のスプリントを7-8本実施した場合、ノルハムで測定されたハムの伸張性筋力がベースラインと比較して低下すること報告しています20。
彼らはハムの伸張性筋力の不足は肉離れのリスク因子の一つであることから、過度なスプリントの実施は伸張性筋力の低下を介して肉離れリスクを高める可能性があると主張しています。
したがって、スプリントを処方する際には処方する量に注意し、
「多すぎても少なすぎても傷害発生リスクを高める可能性が高い!」
ということを頭に入れておく必要があるでしょう。
ポイント
- スプリントも立派なハムストリングス強化エクササイズである
- 長期的なスプリントの実施により大腿二頭筋長頭の筋束長の増大が観察されている
- スプリント処方する際には、その量が「多すぎても少なすぎても危険である」ということを頭に入れておくことが重要
まとめ
後半記事はここまでになります。
今回の記事ではハムストリングス肉離れを予防するためにという題目で前半と後半に分けて,理論的なベースの話を前半で解説し、今回の後半ではそれを踏まえた上でおそらく有効であろうエクササイズを紹介しました。
本記事を読まれた読者からは
「いや、ハムストリングス肉離れってそんなに単純なものじゃない!それだけじゃ予防できない!」
と思われてるかもしれません。
もちろん僕もその点は重々承知で、実際のその日の疲労感やスプリントや方向転換の細かな動作エラーなども肉離れの発生を助長する因子になりうると考えられます。
大切なのは今回紹介したエクササイズをただ処方するだけでなく、目の前の選手や患者さんの問題点、さらにはチームや個人の練習環境の問題点を明らかにし、それにあったエクササイズを処方したり環境調整をしていくことが重要だと考えます。
今回の記事はそれを達成するための一つの”参考資料”程度に思っていただければと思います。
僕自身もハムストリングス肉離れに関してはわからないことが多々ありますので、今後も知識をアップデートしていければと思っています。
今回も長編記事にお付き合い頂きありがとうございました!
ではまた!!!
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追伸
北海道もGW明けぐらいから少しづつあったかくなってきてアウトドアの季節になってきました。
個人的にはキャンプやドライブが好きなので夏の間にどこかいきたいなあと思っています。
あと、つい先日知人にオススメされてクロスバイクを購入しました!笑 結構いい値段しましたが、見た目がカッコよくてすぐに買ってしまいました笑
今年は晴れた日にサイクリングとかに行ければと思ってます。
参考文献
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