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13|サイドメディシンボールスローで体幹回旋パワーを高める!

野球やテニス、ゴルフなどの競技では、競技場面でしばしば体幹を捻る(回旋させる)動きを伴うことが多いです。

Ikeda et al. (2009)は、

Explosive power generated from trunk rotation plays a key role in various sports movements, including baseball, tennis, and golf
体幹の回旋動作から生まれる爆発的なパワーは,野球,テニスおよびゴルフなどの様々なスポーツ動作で重要な役割を果たしている

と述べており、これらのスポーツでは体幹の回旋パワーも重要な体力要素の一つであり、基本的なエクササイズや体幹トレーニングに加えて、体幹の回旋動作を含むエクササイズを導入することが有効である可能性があります。

 

体幹の回旋種目としてはサイドメディシンボールスローが有名ですね。

〇サイドメディシンボールスロー↓

(モデルは同じ大学院生の中国人の方で、ゴルフのセミプロ選手です。さすがの安定力です笑)

 

今回の記事はこのサイドメディシンボールスローの特徴について書いていきたいと思います。

 

1.サイドメディシンボールスローってどんな種目?

上の動画で示したサイドメディシンボールスローは2人1組になって、
片方が投げたメディシンボールを衝撃を吸収しながらキャッチした後(A→B)、相手に爆発的に返す(C)種目となっています。

また、今回見本で載せたサイドメディシンボールスローは足を前後に開くスプリット姿勢で行っており、バランスを崩しやすくなっています

メディシンボールをぶつけることができる壁のある施設であれば、自らメディシンボールを切り返して壁に思いきりぶつける方法で実施することも可能です。

ただ1人で行う場合、衝撃吸収の局面を上手く作れなかったりするので2人1組で行うサイドメディシンボールスローよりも得られる効果は低いかもしれません。

 

2.体幹回旋パワーを向上させられる可能性

まず最初に、体幹を回旋させる筋について話していきます。

体幹を回旋させる筋は主に2つあり、外腹斜筋と内腹斜筋です。

画像のように右回旋を行った際には反対側(左側)の外腹斜筋が収縮し、同側(右側)の内腹斜筋が収縮します。

 

したがって、もし体幹の回旋パワーを向上させたい場合、これらの筋の筋力およびパワーを向上させることが重要となります。

 

Ikeda et al.(2009)は、サイドメディシンボールスロー中の外腹斜筋の筋活動を観察しました.

その結果、切り返し局面にて反対側(投げる方向とは逆)の外腹斜筋が大きく活動することを示しており、解剖学的な視点通り、サイドメディシンボールスローでは外腹斜筋を鍛えられる可能性が確認されました。

また、サイドメディシンボールスローで行われる体幹回旋運動は爆発的(バリスティック)で行われるため、体幹回旋筋のパワーエクササイズと考えることが出来るでしょう。

 

したがって、もし体幹回旋動作が頻繁に行われるスポーツを行うアスリートが、下半身の筋だけでなく体幹回旋筋のパワーを高めたい場合は、サイドメディシンボールスローは有効なトレーニングの1つかもしれません。

 

3.体幹の安定性も求められる

また、サイドメディシンボールスローでは体幹の安定性も高めることが可能であると考えられています。

Ikeda et al.(2009)は、サイドメディシンボールスロー中に減速局面の後半から切り返し局面を通して、同側(投げる方向と同じ方向)の外腹斜筋が大きく活動することを示しました。

また、ここでの同側の外腹斜筋の活動は、比較的遠くまで投げることのできる被験者の方が比較的短い距離しか投げることのできない被験者よりも高い筋活動を示すことも確認されました。

 

おそらくここでの同側の外腹斜筋の筋活動は、より遠くまでメディスンボールを飛ばす際に減速局面から切り返し局面を通して体幹を安定化させていることを意味しており、
もしそれが出来なければ、体幹の回旋パワーを上手く伝達することが出来ないのでしょう。

 

実際に著者らは考察のなかで、

In dynamic trunk rotation such as the side medicine-ball throw or baseball batting, it is possible that
stabilizing the trunk is an important factor for effective use of mechanical energy, especially when using a heavy weight
メディシンボールスローや野球のバッティングのようなダイナミックな体幹の回転では、特に重い重量を使用する場合に、体幹を安定させることが力学的エネルギーを有効に活用するための重要な要素であると考えられます

と述べています。

 

したがって、サイドメディシンボールスローでは、体幹回旋パワーを効率よく伝達する上で重要となってくる体幹の安定性も同時に向上させられるエクササイズといえるでしょう。

 

またここでの体幹安定性は、1人で行うよりもペアの人に投げてもらうことでより強化されるでしょうし、少し重いメディシンボールを用いることでも負荷を上げることが可能でしょう。

 

まとめ

今回は体幹回旋パワーを向上するために有効であると考えられているサイドメディシンボールスローについて書きました。

以下今回の記事のまとめです。

  • サイドメディシンボールスローは体幹の回旋筋のパワーを高めるのに有効である可能性
  • 体幹回旋パワーを上手く伝達する上で重要となる体幹の安定性も同時に強化できる可能性

 

今回もマイナー種目についての記事になりましたが、一般的に行われてるエクササイズを深堀してそれがもたらす効果について深く考えることは僕自身とても楽しいです(笑)

皆さんの中で、「この種目ってどういった効果があるの??」と疑問に思うことがあれば、遠慮なくTwitterなどでDM下さい!
是非ディスカッションしましょう!(もしかしたら記事にするかもしれません笑)

 

ではまた!

 

 

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  • この記事を書いた人

中田 開人

理学療法士,CSCS 1996年7月22日生まれ 北海道札幌市出身 アスリートのパフォーマンスを高める専門家(S&Cコーチ)として活動しています。

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