このブログを見ている指導者のなかで、
「選手の疲労度をモニタリングしたいな~」
であったり、
「トレーニングの量を選手の疲労度も考慮して調節したい!」
と思っている方はいませんか?
そんなときに役立つのが”セッションRPE”という内的負荷を測定する方法。
今回はこのセッションRPEとその実用例について書いていきたいと思います。
内的負荷と外的負荷
内的負荷
まずセッションRPEについて説明する前に、内的負荷と外的負荷について簡単に説明していきたいと思います。
内的負荷とは「身体の中で測定される負荷量」で、
心拍数や今回紹介するセッションRPEなどが内的負荷に入ります。
外的負荷
一方で外的負荷とは、内的負荷とは反対に「身体の外から測定される負荷量」で、
GPSなどを身体に取り付けることで測定される総走行距離などがあります。
セッションRPEとは
上記の通り、セッションRPEは身体の中で測定される内的負荷に分類されるのですが、どのように測定されるのか。
その測定方法はすごく簡単!!
まず、選手が練習を行った時間を記録しておきます。
そして、練習を終了したあと選手から、下の写真の修正Borgスケールを用いて主観的疲労度(RPE)を選手から聞きます。
10段階評価で、10に近づくほど練習がキツかったことを意味します。
セッションRPEの計算方法は、先程記録した時間(分単位)と選手から聞いたRPEの数値を掛け合わせるだけでその日の選手の負荷量が計算されます。
例えば、その日の練習時間が90分で、RPE数値が4(ややきつい)であれば
90×4=360
となりその日の負荷量は360ということになります。
この通りセッションRPEはまったくお金と時間をかけることなく簡単に測定できます。
セッションRPEと傷害発生率の関係
ここまで読んだ人の中で、
「そんな選手から数字聞くだけだと負荷量が測定されるなんて怪しい・・・」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、このセッションRPEという測定方法は多くの論文で傷害発生率との関連が高いことが報告されており、中には、先程説明した外的負荷よりも信頼性があるという報告もあります¹。
傷害発生率との関係については、
例えばGabbettは、セミプロのラグビー選手を対象にした研究で、セッションRPEを用いて測定された負荷量とシーズン中の傷害発生率との間に非常に強い相関関係(r = 0.86)が存在することを報告しています²。
このことからも、セッションRPEは選手の傷害発生率を抑えるための一つのツールとして役立つ評価項目だと考えられています。
セッションRPEの実用例
で、僕も最近指導している部活動にセッションRPEを導入しました。
その理由としては、毎年、リーグ戦(インカレ予選)の期間になると怪我をする選手が増えていたので、それを少しでも減らせたらいいなぁと思ったからです。
自分たちは毎回の練習ごとに練習時間とRPEを以下の紙に記入してセッションRPEを測定しています。
最近ではGoogle Formなどを使った回答方法もあるみたいですが、回答忘れが多いなどの実例もあるみたいだったので、自分たちは直接選手に聞いてます(笑)。
実際にはセッションRPEから算出されるACWR、Monotony、Strainなども評価項目に入れていますが、
それについてはまた後ほど説明しようかと思います。
セッションRPEをエクセルでまとめる方法に関しては以下の動画を参考にするといいと思います!
英語で話してますが、画面に従って真似すれば問題ありません。
まとめ
今回はセッションRPEについて話してきました。
セッションRPEは長期的にとっていくことでその効果を発揮するものなので、今後も継続してとっていきたいと思います。
またしばらくして、分かったことがあれば報告したいと思います。
参考文献
- Jones CM, Griffiths PC, Mellalieu SD. (2017). Training load and fatigue marker associations with injury and illness: A systematic review of longitudinal studies. Sports Med. 47:943–974.
- Gabbett TJ. (2004). Influence of training and match intensity on injuries in rugby league.
J Sports Sci. 22:409–417.